Research Visions
Finite Element Methods 2.0 + Machine Learning
複雑な現象を正しく,効率的に,そして誰でも使える形で数値化する
それが私の研究の大きな目標です.
有限要素法(FEM)は1943年のクーランの論文にその原型があり,およそ80年にわたって発展を続けてきました.解析や応用の理論は成熟してきたようにも見えますが,実際にはまだ多くの課題が残されています.現代の物理・生物・工学・気象などの応用分野では,非線形性・異方性・マルチスケール性,さらには領域形状の複雑さや多様な境界条件が組み合わさった偏微分方程式が現れます.こうした問題に対し,効率的かつ精度の高い数値解法を提供することが求められています.
私の研究では,これまでの有限要素法の誤差解析を見直し,より柔軟なメッシュ分割や精度向上につながる手法を探ります.さらに,機械学習(ML)を取り入れた数値解析の自動化を進め,非専門家でも高度なシミュレーションを気軽に行える環境の実現を目指しています.
長期的な視点で以下を目指します.
- 複雑な問題を効率的に近似する数値計算手法の開発・解析
- 計算スキームの数学的解析と抽象化
- 有限要素法の自動化とMLによる最適化
Under construction
(13th August 2025 Update)
1. 複雑な問題を効率的に近似する数値計算手法の開発・解析
対象とするのは,拡散移流方程式,ナヴィエ–ストークス方程式,インターフェイス問題,確率微分方程式,最適化問題など,幅広い偏微分方程式です.気候モデルや異常気象の再現といった,大域スケールと局所スケールが混在する現象も視野に入れています.
ここに,機械学習を活用することで,膨大なシミュレーションデータからパターンを抽出し,解の振る舞いや誤差分布を事前に予測することが可能になります.これにより,最初から効率的なメッシュ配置や計算条件を選択できるようになります.
2. 計算スキームの数学的解析と抽象化
多くの計算スキームは経験的知識や試行錯誤に依存しています.私は,スキームの数理構造を明確にし,共通パターンを抽出して理論化することを目指しています.
さらに,機械学習的アプローチを加えることで,理論だけでは予測が難しい複雑な依存関係をデータから補完し,理論解析+データ駆動のハイブリッド型手法を構築します.これにより,抽象化された理論に柔軟性を持たせつつ,未知の問題にも適応できるフレームワークを作ります.
3. 数値計算の”自動化”,特に有限要素法による
有限要素解析には多くの工程がありますが,これらを自動化するために,機械学習を組み込んだアルゴリズムを設計します.具体的には:
- 誤差予測モデル:過去の計算データから誤差分布を予測し,自動でメッシュ分割方針を決定.
- スキーム選択モデル:問題の特徴に応じて最適な数値スキームを提案.
- 異方性メッシュ設計:解の特徴量(勾配や特異性)を学習し,自動で方向依存の細分化を決定.
有限要素法に関する本
数学者向け標準的な有限要素法の本は次のようなものが参考になります.日本語で書かれたものは多くはありません.
- [菊地1] 有限要素法の数理
- [菊地2] 有限要素法概説
- [斉藤] 偏微分方程式の計算数理
- [田端] 偏微分方程式の数値解析
- [Braess] Finite elements
- [Brenner&Scott] The Mathematical Theory of Finite Element Methods
- [Ciarlet] The Finite Element Method for Elliptic problems
- [Ern&Guermond1] Theory and Practice of Finite Elements
- [Ern&Guermond2] Finite Elements Ⅰ
- [Ern&Guermond3] Finite Elements Ⅱ
- [Ern&Guermond4] Finite Elements Ⅲ
- [Bernardi,Girault,Hecht,Raviart,Rivière] Mathematics and Finite Element Discretizations of Incompressible Navier-Stokes Flows
- [Boffi,Brezzi,Fortin] Mixed Finite Element Methods and Applications
- [John] Finite element methods for incompressible flow problems